2024年9月8日日曜日

むかし昔のたぬき @ シャトレーヌ洋菓子店(北海道札幌市)

北海道札幌市 シャトレーヌ洋菓子店 のたぬきケーキ「むかし昔のたぬき」です。

シャトレーヌ洋菓子店は札幌市の南東部、清田区にある洋菓子店で、私にとっては9年ぶりの訪問になります。前回から店内のレイアウトが変わっており、前はなかったと思う陳列棚、その一段が丸々たぬきケーキ関連のグッズや掲載誌で埋まってて、私の「たぬきケーキめぐり」やカプセルトイまで飾られている有り様。なんてありがたいんだ。


反対側に目を向けるとそこはイートインスペース(前もあったらしいんですが気付かなかった)。仕切りのアクリルボードにはたぬきを含むケーキのイラストが散りばめられ(水森亜土を思い出す世代)、壁には(なんということでしょう)生息マップを引用したたぬきケーキの解説文が掛けられており、来店者の目を惹きます。

正面に置かれたショーケースの下段レジ寄りにたぬきケーキが鎮座。名前は「むかし昔のたぬき」です。他のケーキが1列なのに対し、たぬきだけ2列で並んでいることからも普段の人気が伺えます。あ、値札が手書きから印刷になってる。

せっかくなのでイートインでいただきましょう。この「むかし昔のたぬき」の特徴はなんといってもこの装飾です。たぬきらしく頭に乗った葉っぱと、バレンタイン向けにやり出してから初期装備になったハート。あとは季節だったり適当だったりなパーツで飾られています。


割ってみると胴体部分はココアスポンジを使ったロールケーキ、頭部はたっぷりのバタークリームで作られていますが、体の中心部に栗のペーストの層があり、その甘さのグラデーションに(おじさんが癒やされゆく感じの深い)ため息が出ます。

シャトレーヌのたぬきのルーツはちょっと複雑。

代表の中川さんは北海道出身ですが、東京に出たかったこともあり、1962年、洋菓子製造販売会社「ナガサキヤ(本社は京都)」の東京支店に勤めます。当時、ナガサキヤが直営する洋菓子店では数種類の小さいケーキの入った「プティフール」が売られており、その中にたぬきケーキ(顔だけ)がいて、中川さんも作っていたそうです(その後、横浜でカップケーキ種のたぬきケーキをも目撃)。

1965年、札幌の百貨店 丸井今井(≠OIOI)にナガサキヤが出店。地元ということで中川さんにも異動命令が下り、数年の約束で札幌に戻ります。が、何年経っても東京に戻れないことから、独立を決意。1977年、札幌でシャトレーヌを起業します。シャトレーヌではナガサキヤで作っていたプティフールとしてのたぬきを作っていたものの数年で終了。以後、独自の洋菓子を追求していきます。

それから30年以上経った2012年。札幌の洋菓子協会が創立60周年を記念し、昭和の洋菓子を再現して販売する、というイベントを開催します。サヴァランやプリン、エクレアやモンブランなど、あくまで昭和の形のケーキです。その中でシャトレーヌは「たぬき」を再現しました。ただこれは、かつて作っていたプティフールではなく、普通の大きさのケーキ。なので、シャトレーヌとしては初めて作るオリジナルのたぬきとなっています。

これが好評となり、お店のラインナップに追加。バレンタインでのハートに始まり装飾が増えていき、「むかし昔のたぬき」が完成されていったという流れ。(違ってる部分あるかもですが)すごく良い。

中川さんから1時間以上お話伺っていましたがすごく楽しくて興味深くて。最近は昔のケーキを現代に合わせていくのも考えているらしく、その話も面白かった。楽しみです。絶対食べに行こう。

(捕獲日:2024年7月15日)

むかし昔のたぬき
シャトレーヌ洋菓子店(Web / Instagram
住所: 〒004-0843 北海道札幌市清田区清田3条2丁目7-8
電話番号: 011-881-1232
営業時間: 10時00分~19時00分
定休日:不定休

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